理系の気ままメモ

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線形代数学(集合と写像)

(つづく集合について

定義

集合(set)とは、「数学的に意味のある要素を集めた集まり」すなわち「客観的にその集合の要素に含まれるか否かを判断できる要素の集まり」である。

説明

具体例を示しながらどのようなものが集合として定義できるのかを示したいと思います。ここで、次の二つの条件によって集められる要素の集まりがそれぞれ集合と呼べるのかについて考えてみよう。

「背の高い人の集まり」 (A)

「身長が175cm以上の人の集まり」 (B)

一つ目の(A)について考えてみましょう。背の高い人とは、どのような人のことを指すのでしょうか。身長が170cm以上の人のことでしょうか。175cm以上の人のことでしょうか。背の高い人という条件だけでは、聞いた人によって集合にその要素が含まれるか否かの境界があやふやになります。つまりある人からすれば、背の高い人とは170cm以上の人と思うかもしれませんが、また別の人からすれば、背の高い人とは180cm以上の人のことだと思うかもしれません。このように、人によって集合の境界が異なるような要素の集まりは集合ではありません。

次に2つ目の(B)について考えてみましょう。こちらはどうでしょうか。(A)とは違い、どの人に聞いても身長が175cm以上の人とは身長が175cm以上の人のことを指します。つまり、どの人に聞いても、ある人がその集合に含まれるかどうかは一致するはずです。このように、人によって集合の境界が一致するような要素の集まりのことを集合と呼ぶことができます。

 補足

0.一般に集合は大文字のアルファベットで表し、要素は小文字のアルファベットで表すことが多い。

1.集合を構成する個々のもののことを、「要素」または「元」と呼ぶ。

2.ある集合Xを構成する要素の一つが要素aであるとき、「集合Xは要素aを含む」や「要素aは集合Xに属する」といい、次のように表す。

a \in X

 3.ある集合Xがx_1,x_2,...,x_nのn個要素を持っているとき、次のように表す。

X = \{ x_1,x_2,...,x_n \}

また、ある集合Yについて考える。集合Yが自然数を要素とする集合とすると、次のように表せる。

 Y = \{ 1,2,3,... \}

また、次のようにも表せる。

 Y = \{x | x \in \mathbb{N} \}

前者のように集合が持つすべての要素を書きだす記法を「外延的記法」という。

また、後者のように、集合が持つすべての要素を書きだすのではなく、「|」の前に集合が持つ要素を示し、「|」の後ろにその要素が満たすべき条件を示すことで集合の持つ要素を示す記法を「内包的記法」という。

また、集合Yの前者の外延的記法の例や集合Xについての外延的記法の書き方では1,2,3の後にどの数字が来るのかは明確には示されていないが、普通に考えればこの後に4,5,6,...と続くと考えられる。このように、外延的記法では、要素の数が多い場合や無限の場合は"..."を用いて、省略する場合があるが、読み手側は文脈などから"..."の省略部分を正しく読み取る必要がある。また、書き手側も読み手側が省略部分である"..."が何を省略しているのかが分かるように注意する必要がある。

4.集合Aが1,2,3の要素をもち、集合Bは自然数を要素にもつとする。このとき、集合Aは次のように表す。

 Y = \{ 1,2,3 \}

集合Aの要素の個数は3個である。このようにある集合の要素の個数が有限の数であるとき、その集合を「有限集合」とよび、絶対値の記号"|"で有限集合を表す文字を挟むことで、その有限集合の要素の個数を表すことができる。集合の要素数のことを集合の「濃度」ともいう。例えば次のように表せる。

|A| = 3

また、集合Bは無限個の要素を持つ。このように、無限個の要素をもつ集合のことを「無限集合」という。無限集合の要素の数を集合の「濃度」と呼ぶ。

(続きはいずれ書きます…)