理系の気ままメモ

自分の興味のあることや発見したことや思ったことなどを自由気ままに書くブログ。

「第12回対話システムシンポジウム」参加報告

「第12回対話システムシンポジウム」に参加しました

2021年11月29日,30日に行われた「第93回研究会(第12回対話システムシンポジウム)」に参加させて頂きました.また,ありがたいことに29日の「11:30-12:50 ポスターセッション1」において,「9. 対話における後続発話のエントレインメント予測」という題でポスター発表もさせていただきました.
今回発表させていただいた内容の大まかな部分は,実は理化学研究所のガーディアンプロジェクトの知識獲得・対話研究チームというところで今年の夏休みにインターンシップに参加させていただいていた時に行ったものとなっています.後日,インターンシップの内容についても記事を書かせていただきたいと思います.
本記事では,自分の研究内容の紹介ではなく対話システムシンポジウムに参加した感想などをメインに書かせていただきます.ですが一応,投稿論文のリンクをつけておきます.

金崎 翔大, 河野 誠也, 湯口 彰重, 桂井 麻里衣, 吉野 幸一郎, 対話における後続発話のエントレインメント予測, 人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会, 2021, 93 巻, 93回 (2021/11), p. 50-55, 公開日 2021/11/20, Online ISSN 2436-4576, Print ISSN 0918-5682, https://doi.org/10.11517/jsaislud.93.0_50, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaislud/93/0/93_50/_article/-char/ja, 抄録:
エントレインメントは対話における話者間の言語使用の傾向が互いに類似するような現象であり,対話のタスク成功率や自然性,対話意欲と相関することが報告されている.対話システムの応答選択/応答生成をエントレインメントを考慮して制御することでシステムの応答性能の向上を試みた研究があるが,与えられた対話文脈に対してシステムがどの程度のエントレインメント度合いで応答すれば良いかを適切に決定するようなモデルについての十分な検討は行われていない.そこで本研究では,対話システムの応答における理想的なエントレインメント度合いを決定するために,人間の対話におけるエントレインメントを模倣するような予測モデル構築した.評価実験の結果,提案したエントレインメン予測モデルは,経験的に基づいて構築された単純なベースラインモデルと比較して,高い性能で各ターンにおける応答のエントレインメントを予測できていることを示した.

シンポジウム全体の流れ

シンポジウムは29日と30日の2日かけて行われ,どちらも10時くらいから始まって18時くらいまでだったと思います.また,今年のシンポジウムは完全オンラインで行われ,学会自体はポスター発表も含めて「Zoom」で行われました.細かいタイムスケジュールは次のようになっていました.(https://jsai-slud.github.io/sig-slud/93th-sig.html より引用)

[2]タイムテーブル
〇 11月29日(月)
9:50-10:00 開会挨拶
10:00-11:15 一般口頭発表1(3件)
11:15-11:30 休憩
11:30-12:50 ポスターセッション1(10件)
12:50-13:50 昼休憩
13:50-15:05 一般口頭発表2 (3件)
15:05-15:15 休憩
15:15-18:15 対話システム ライブコンペティション4
18:15-18:45 休憩
18:45-20:00 オンライン懇親会

〇 11月30日(火)
10:00-11:15 一般口頭発表3(3件)
11:15-11:25 休憩
11:25-12:45 インダストリーセッション
12:45-13:40 昼休憩
13:40-15:00 ポスターセッション2(9件)
15:00-15:10 休憩
15:10-16:10 招待講演(大阪大学 長井隆行先生)
16:10-16:20 休憩
16:20-17:20 国際会議報告
17:20-17:30 休憩
17:30-18:00 表彰・閉会

自分は,2日とも参加しました.

1日目(29日)

29日は10時くらいから始まりました.自分は初めての学会発表で結構緊張していました.自分のポスター発表は11:30からで,その前に口頭発表があり全員レベルが高くて,自分の発表がやばいかもと思っていました.口頭発表も興味深いものが多くて面白かったです.また,今回初めてまともに学会やシンポジウムに参加したのですが,発表される方はみんなすごい発表練習されているのだろうなと思わされました.1人当たりたしか20分で話して5分質疑応答となっていたのですが,みなさんほとんど時間ぴったりでスムーズに話されていました.
そのあと,待ちに待った(?)自分のポスター発表の時間になりました.ポスター発表は「Zoom」の「ブレイクアウトルーム」を使いそれぞれの発表者ごとにルームを作って,聞きたい人がそれぞれ好きなルームに自由に移動する方式でした.時間はポスターセッション全体で80分で,1クールあたり10-15分ほどで発表と質疑を終わらして,また1クールが終わると新しくルームに入ってきた人に最初から説明するという方式でした.ただし,自分の場合は実際には20分ほどで1クールになっていたかもしれません.30日に参加したほかのポスターセッションでも人によって20分ほど1クールにかけていた方もいらっしゃったので,その辺はまあある程度自由(?)になっているのではないのかなと思います.
初めての発表ということもあり,緊張しながら11:30を迎えたわけですがなんと拍子抜け開始直後は「広聴者0人」!緊張して損しました(笑)ですが,ありがたいことに,そのあと10-15分ほどすると,何人かの人が聞きに来てくださってそれからは人が途切れずに広聴していただきました.対話システムや言語学を研究されている方など様々な方から質問や意見をいただきました.必死に発表や質問返答を行っているうちにあっという間にポスター発表の時間が終わりました.非常に良い経験になったと思います.まだまだ慣れておらず,自分のポスター発表のルームの進行等がいまいちな感じでしたが次の学会やシンポジウムでの教訓にしたいと思います.
また,29日のお昼には「Gather」による交流会(?)的なものも行われました.午前中に自分はポスター発表があったので,ポスター発表が終わった後にそのままお昼の交流会に参加しました.参加は強制ではなく参加したい人だけ参加的な感じでした.交流会では自分と同じように午前のポスター発表をされた方とお話させていただきました.ポスター発表をしているとほかの方のポスター発表を聞きに行くことができないのでこの時に別のポスター発表の方の発表を少し聞かせていただきました(笑)
その後,口頭発表があり,対話システムライブコンペがありました.対話システムライブコンペは以前から名前などは聞いたことがあったのですが,今回初めて見ました.それぞれ企業や研究者から対話システムが応募され,対話システムが最も人っぽい返答ができるかを競うコンペみたいなものになっています.対話システムは事前に予選で選ばれていて,上位3-5位がこのシンポジウム当日の決勝戦(?)に参加できるようになっているようです.詳しくはネットや学会の情報を確認してください.当日は,予選を勝ち抜いたシステムとランダムに事前に選ばれたシンポジウムの運営の方(?)が対話とチャットで行い,シンポジウム参加者がその対話を見て得点をつけ,その平均点で順位を決める形のようです.今回初めて作りこまれた対話システムと人間が会話しているのを見たのですが,思っていたよりも人っぽい応答ができていて非常に驚きました.しかし,やはり時々すこし不自然な応答をする時もありました.まだまだ対話システムはいろいろと研究するべき点があるのだろうと思いました.
大体29日はそんな感じで終わりました.この後,希望者だけでオンライン懇親会がありました.自分も参加させて頂きました.参加した人をランダムな4,5人ほどのグループに分けてZoomのブレイクアウトルームで雑談を行うというような感じでした.各グループに運営の方が1人以上は含まれるように調整は行われていた感じです.自分は研究活動などで感じていた疑問等について少し質問させていただいたりしました.

2日目(30日)